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友の会専用ページ 2021年7月・8月

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ふなばし三番瀬環境学習館 友の会専用ページ 7月・8月号

潮干狩り時季の干潟の生きもの

皆さま、こんにちは!環境学習館スタッフで飼育担当の宮腰です。
不安定な天気が続いていますが、こんな時こそ健康に気をつけて元気に過ごしたいですね。

さて、ふなばし三番瀬海浜公園では5月末まで潮干狩りを開催しておりました。ご利用いただいた方もいらっしゃるかもしれませんね。潮干狩りで狙うのは主にアサリなどの二枚貝かと思いますが、ほぼ確実に他の生きものも見つかることでしょう。特に春から初夏にかけてのこの時季は、干潟にたくさんの生きものが現れます。潮干狩りに来たのに、いつの間にか他の生きもの探しに夢中になっていた!なんてことがあると思います。(かつての私がそうでした。)
今回は、今の時季に見られる二枚貝以外の生きものたちをご紹介しつつ、学習館で飼育した時の様子もお見せできればと思います。今年潮干狩りをされた方は思い出しながら、行けなかった方は来年以降の参考にご覧ください!

干潟にしゃがみこんで砂を掘っていると、2cmに満たない小さな巻き貝が砂の上を這っているのを見かけると思います。でこぼことした貝殻のこの貝は、館内展示でもおなじみの「アラムシロ」です。長い水管で餌の匂いを敏感に察知し、生きものの死骸や人が掘り出した生きものを食べに来ます。学習館では砂を2cmくらいに敷いた水槽で飼育しています。餌を入れると一斉に砂から出てきて面白い上に、比較的簡単に飼育できる生きものです。

アラムシロの写真
砂の上を這うアラムシロ

エビやカニ、ヤドカリなどの甲殻類も多いですね。砂によく似た色のエビがいれば、それは「エビジャコ」です。シャコの仲間ではなく、横に広い体型のエビの仲間です。水槽ではカニの餌を横取りするなど、食欲旺盛な面も見せてくれました。

エビジャコの写真
歩くエビジャコ

ヤドカリもよく見られる生きもののひとつです。右のはさみが大きい「ユビナガホンヤドカリ」と左のはさみが大きい「テナガツノヤドカリ」がよく見られ、運が良ければ、巨大な「コブヨコバサミ」がいるかもしれませんね。これらヤドカリは種類ごとに好む餌が異なりますが、どれも飼育して面白い生きものです。

ユビナガホンヤドカリの写真
ユビナガホンヤドカリ

甲殻類の仲間をもう一つ紹介します。海藻が落ちていたら、水に入れてよく振ってみましょう。「ワレカラ」という生きものが出てくることがありますよ。海藻にそっくりな姿をした不思議な生きもので、海藻に擬態して生活しています。水槽では、プランクトンを入れるとゆらゆらと動き出して食べる様子を観察することができます。

ワレカラの写真
ワレカラ

次は魚を見てみましょう。潮だまりに足を踏み入れるとたくさんの小さな魚が逃げていきます。まず目立つのが、大きな群れで水面近くから中層を泳いでいる「ボラ」の稚魚です。成長すると50cm以上になるボラですが、今の時季はその子ども達が銀色の体を輝かせながらたくさんやってきています。また、そんなボラの群れに混ざって違う魚も泳いでいます。ボラの仲間の「メナダ」、船橋で多く水揚げされている「スズキ」、釣りで人気の「クロダイ」などがいて、それらを探すのも面白いですね。

ボラの稚魚が群れている様子
ボラの群れ

泳ぎ回っている魚だけではなく、水底近くで泳いで、止まって、を繰り返す細長い魚も多く見られることでしょう。それはおそらくハゼの仲間です。今の時季に多いのは頭でっかちの「マハゼ」やスラっとした体形の「チクゼンハゼ」の稚魚、受け口の「ヒメハゼ」などです。似ているようで違うハゼが多いので、見つけたらよく観察してみましょう。

ハゼの仲間の写真
マハゼ(左)とヒメハゼ(右)

5月中であれば「イシガレイ」や「マコガレイ」にも出会うことができるでしょう。口が小さくて少々臆病なカレイたちは、飼育し始めたころの餌づけに工夫が必要です。

イシガレイの写真
砂にそっくりなイシガレイ

学習館でも魚を飼育していますが、飼育の難易度はこれまで出てきた生きものと比べて段違いに高いものが多いです。捕まえる時点で弱りやすく、水槽に入れても水か汚れると病気になったりするので水を綺麗にするろ過装置などの設置が必須です。最初から何でも食べてくれる魚は多くなく、ボラなどはかなり痩せやすいです。そして何より、かなり大きくなる魚がいることに要注意ですね。

潮干狩りの時季に見ることができる代表的な生きものたちを紹介しました。もちろんこの他の生きものもたくさんいるので、潮干狩りをしたときはそちらにも目を向けてみると楽しいですよ!
貝と一緒に持ち帰った生きものを飼育するのも、お家で過ごす時間が増えた今、とても面白いと思います。水槽を観察して初めてわかることもあると思いますよ。ただし、飼い始めたら最後まで責任をもって管理し、できるだけ良い環境(もちろん海水で!)を整えてあげてください。地域によって捕ってはいけない生きもの、入ってはいけない場所があるのでそちらにもご注意を…。
飼育はできないな…という方、ご安心ください。野外での観察が難しい生きもの、ご家庭での飼育が難しい生きものをお見せすることができるのが環境学習館です。皆さまのご来館お待ちしています!

三番瀬ナウ
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