友の会専用ページ 2020年11月
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ふなばし三番瀬環境学習館 友の会専用ページ 11月号
オリジナルクッキングレシピができるまで
友の会会員の皆さんこんにちは! 環境学習館スタッフの山口です。新型コロナウイルス感染拡大防止のために「キッチンスタジオ」での来館ワークショップを行わなくなって久しいですね。
「キッチンスタジオ」は撮影のための機材を導入し、現在はオンライン型ワークショップの配信にも活用されています。 私は料理のワークショップを担当することが多かったので、皆さんと直接お会いしての調理や実食ができず寂しいです。
「デザイン」と「料理」、一見かけ離れた存在に思われますが、クリエイティブなモノ同士、似通ったところも少なくありません。
今回は、過去作を紹介しつつ、アイデアが生まれる2つのタイミングと料理を勉強するときに大切にしていることをお話ししたいと思います!
※1 図、写真、CG、映像、音などの表現で伝達することを目的としたデザインの総称。
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アイデアが生まれるとき① 情報収集はライトなものからディープなものまで アイデアを生むためには常にアンテナを貼り、情報収集をする必要があります。 料理本はもちろん、SNSで話題のものは国内外問わずチェックします。
お菓子メーカー『グリコ』の名前の由来が牡蠣から抽出したグリコーゲン※2だと知り、思いつきました。牡蠣ではなくアサリのだし汁を入れて挑戦してみたレシピです。
このように、ふと得た情報からアイデアが生まれたりします。
※2 運動時のエネルギー源や空腹時の血糖値維持に利用される、多糖類の一つです。
しかし、ニュースサイトやSNSなどでは幅広い情報が簡単に手に入りますが、専門的なことに関しては弱いです。
そこで、ケーキの生地作りやテンパリング※3の仕方など、より専門的な知識が必要になるものは本や論文を頼ります。
特に、料理の科学本はたくさん出版されていて、テンパリング中のカカオバターの結晶変化を科学的に解説してくれているものもあります。
情報収集は「幅広く、時に深く」行うのが私の信条です!
※3 チョコレートに含まれるカカオバターの結晶を安定した状態にする温度調整作業
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アイデアが生まれるとき② 対象に似ているものを思い浮かべる
例えば、『フジツボカヌレ』……。
これは、企画展「くっつきぐらし」のチラシに描かれたフジツボのイラストを見て、とある職員が言った「カヌレに似てる」という発言がきっかけとなりました。
そこから、
「チョコレートで蔓脚(まんきゃく) ※4を再現したらどうだろうか?」
「アラザン※5を飾るとプランクトンっぽく見えるのでは?」
とアイデアを徐々に煮詰めていき、蔓脚について解説を入れるなど、トーク内容も合わせて考えます。
開催当日……! お菓子作りも生きものの話も皆さん楽しんでくださいました! どちらも楽しめるのが普通の料理教室にはない、当館ならではの面白さですね♪
※4 フジツボ特有の蔓(つる)のような形の脚。エサのプランクトンを捕まえるのに使う。※5 ケーキなどのトッピングに使う銀色で粒状の甘い糖衣菓子。
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こちらは、『黒糖アメフラシ餅』。
実は、アイデアの原点はアメフラシ自体ではなく「ウミゾウメン」と呼ばれている「アメフラシの卵塊」!
鶏卵素麺※6が家庭でも作れると知って挑戦してみたときに、出来上がったその姿を見て真っ先に思い浮かんだのが、以前学習館のエントランス水槽で飼っていたアメフラシの卵でした。
※6 ポルトガルから伝来した菓子。沸騰した蜜に卵黄を流し入れて作る。
ぬめぬめしたアメフラシとお菓子を結びつけるのも変な話ですが、一見まったく異なるものを組み合わせてこそ、新しいものが生まれる可能性が高まります!!
「芸術は自然を模倣する」という有名な言葉がありますし、皆さんも船橋三番瀬でたくさんの生きものに触れて、たくさんのアイデアを生みだしましょう~~!
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料理を勉強するときに意識していること
皆さんは料理をするとき、何が大切だと思いますか?
・味
・衛生
・栄養
このあたりでしょうか?
もちろんこれらは絶対に外せない三要素です!
私は、この三つの他に料理を楽しんで勉強をするために大切だと思うことが三つあります。
・見た目
・ストーリー(歴史)
・エビデンス(科学的根拠)
この三つです!
この三つはワークショップを開催するときにも意識しています。
料理は見た目が整っている方がいいですし、その料理のちょっとしたストーリーを知っているとなんとなく楽しくありませんか? 食事中の会話もはずむかもしれません。
そして、なんといっても「料理は科学」です。「なぜ調味料を『さしすせそ』の順番で入れるのか」「根菜類は水から煮るのか」などにも科学的根拠があります。
もし、皆さんが理科をお好きでしたら、ぜひとも料理を科学実験だと思って取り組んでみてください! 原理を調べてみたり、実験記録をつけてみたり……。
きっと今以上に楽しいものになるはずです!!
新しいものを作ることはワクワクします。
けれど0から何かを生み出すことは難しいし大変です。
ぜひ皆さんも、色々なものを参考にしながら皆さんなりのやり方を見つけて 新しい作品(料理など)を生み出してみて下さい♪
私も、皆さんと学習館で再会できる日を待ちながら、これからも「楽しくて」「学びになる」料理ワークショップを目指していきます!!!!!