友の会専用ページ 2020年4月
ふなばし三番瀬環境学習館 友の会専用ページ 4月号
二枚貝を食べよう
こんにちは!学習館スタッフの山口です。
だいぶ暖かくなってきましたね。毎年、春になるとふなばし三番瀬海浜公園では潮干狩りが開催されておりました。
しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、潮干狩りは全日程中止となってしまいました。とても残念です。
とはいえ、春先が色々な貝の旬であることには変わりありません!
今回は、千葉県民にはなじみ深い3種類の二枚貝の「食材」としての特徴をご紹介いたします。
まずは、潮干狩りの定番であるアサリの紹介から!
アサリはほとんどのスーパーで売っていて、値段も手ごろで「みそ汁」や「パスタ」など和洋中を選ばず美味しく食べられる二枚貝のオールラウンダーです。
さらに、産卵前の春先は殻を押し開いてしまいそうなほど身がつまっているので歩留まり(可食率)も悪くありません。
ただ、アサリは砂を吸い込んでいるので、しっかり砂抜きをする必要があります。
「砂抜きするときは3%塩水」とはよく言いますが、正直なところアサリは後述の順番でより水管を出します。(山口調べ)
①潮干狩り場(出来れば湾内)の海水
②3%強の塩水(水200mlにしっとりした粗塩小さじ1強※約6.8g)を基準にアサリの反応をみて調整する
③3%塩水
海水の塩分濃度はおよそ3~3.6%ほどです。
経験上、3%ですとあまり水管を出さないことが多いので、海水を飲んでしまった時の記憶を頼りにいつも少し塩を足しています。なので、潮干狩り場の海水が手に入らなかったときは、皆さんもとりあえず②でやってみて、アサリの反応を確かめつつ濃度を調整してみて下さい。水温は冷たいなと感じる程度の水(20℃前後)が良いです。
また、塩水を作る際は塩を量りますが、同じ小さじでも粒の粗さで重さは変わってきますのでご注意ください。粗塩だと小さじ1で4gなのに、雪塩だと小さじ1で2gなんてこともあります! いつも使っている塩が大さじ1と小さじ1で何グラムになるのかは、事前に調べておきましょう。
アサリが気持ちよく砂を吐き出しているとき、入水管からは塩水を吸い込んでいます。
調理したときにしょっぱくなりすぎないよう、砂抜きが終わったら塩抜きをしてあげてください。30分から1時間の間、塩水や水に浸すことなくそのままザル等に放置するだけでちょっと塩水を吐き出します。
アサリの下拵えはこれでバッチリです。 あとは好きな料理にたっぷり使ってあげてください。
定番はお味噌汁ですが、私のおすすめはパエリアやスンドゥブです。アサリは出汁がたくさん出ますし、殻に模様があって写真映えするところも良いですね!
お次は、ハマグリ!
潮干狩り場でたくさんとれるイメージをお持ちの方もいますが、千葉県では絶滅した可能性が高いとされています。
しかし、九十九里など千葉県では外洋性のチョウセンハマグリがとれますし、輸入物のシナハマグリもスーパーに出回るので馴染み深い二枚貝かと思います。
(日本の内湾性天然ハマグリは、生息地破壊により近年では局地を除いて絶滅に近い状態です。)
アサリと同様に砂抜きをする必要があります。加えて、塩抜きをすることがアサリ以上に大切です。
アサリは潮間帯(潮の満ち引きを)にくらす貝ですが、ハマグリは潮下帯(海水に浸かりっぱなしの場所)にくらす貝です。
アサリと異なり、ハマグリは海水をたっぷり吸い込むので、調理したときにしょっぱくなりすぎないように塩抜きをしてあげてください。
ハマグリはその出汁の濃厚さと上品な味わい、加熱してもあまり固くならないのが特徴です。潮汁や浜焼きにするなど「貝そのもの」を味わう料理をおすすめします。
ちなみに、浜焼きにするときは、蝶番の部分にある靭帯を切り落として一気にパカリと開かないようにするか、開いたらすぐに貝汁を取り分けることをおすすめします。
さらに、身がついている殻を下にすると良いでしょう。見分け方は、テーブルの上などで蝶番を下にして手を離したとき、下になったほうに身がついています。
大切なのは「貝のうまみ汁をこぼさないこと」です。
さあ、三種類目の二枚貝は何でしょう?
船橋といったら、やはりホンビノス貝ですね!
ホンビノス貝は泥地に住まう貝なので砂抜きが必要ありません。
代わりに体内の泥や体液を吐かせるモヤ抜きという作業をします。
やり方は砂抜きと同じです。ただ、スーパーで売っているホンビノス貝は基本的にモヤ抜き済なので、殻を真水でごしごしと洗って、塩抜きだけすれば大丈夫です。
塩抜きは、アサリのようにそのまま放置する方法のほかに、真水に1時間ほど浸けるやり方があります。時間がない場合は、調理の際に薄めの味付けにしてみてください。
ホンビノス貝は、出汁がよくとれますが見かけのわりに身は小さめです。アサリやハマグリよりも身が固いので、過度な加熱をしすぎないようにするか、細かく刻む等調理法を工夫することをおすすめします。
クラムチャウダーに使われる貝なので、クラムチャウダーはもちろん、ピザやラーメンなど豚肉を合わせる料理や豚肉自体との相性が良いです。重厚な味になりがちなので、小ねぎやパクチーなどと合わせると食べやすくおすすめです。
お手頃価格なので気軽にたくさん食べられます!
このように、一口に貝と言っても捌き方、向いている料理、味、そして栄養素もそれぞれ異なります。実際に、同じような見た目の三種類の二枚貝でも下拵えの方法も向いている料理も違いましたね。
他の貝を例に挙げると、
ウバガイ(ホッキ貝)…砂に潜るための足(斧足)が発達している→シャキシャキした斧足が美味
ホタテ貝…砂に横たわってくらし、発達した貝柱(閉殻筋)で勢いよく殻を開閉し泳げる→貝柱が美味 ※砂抜き不要なのはロープにつるして養殖したものだから
牡蠣…固着してくらし筋肉ではなく内臓が発達→クリーミーな内臓が美味
ツメタ貝…発達した外套膜で他の貝を覆って食べる→歯ごたえと食べごたえのある外套膜※圧力鍋を使うとよい
このように、それぞれの貝の「食べ物」としての特徴は「生体・生態」と密接に関係していることが多々あります。
よく知らない貝をスーパーで発見したら、調理法だけでなくどんな生きものか調べてみると面白いと思います。
あぁ……なんだかお腹が空いてきました!
冷凍していたホタテ貝柱の粕漬けでも焼いて食べようと思います。
(貝類は冷凍耐性が強めなので、外出自粛の際の保存食材としても良いですね)
皆さんも来年の潮干狩りでは、たくさんのアサリを持ち帰って、美味しく調理してあげてください!