友の会専用ページ 2019年5月
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ふなばし三番瀬環境学習館 友の会専用ページ 5月号
環境学習館スタッフの小澤です。友の会専用ページへようこそ!
ここでは、さばかん通信に載せきれなかった小ネタや裏話を公開していきたいと思います。
記念すべき第1回は、5/7に行なった三番瀬干潟の生態調査についてお話しします。
春は、1年を通して日中もっとも潮が引く季節です。休館日だった5/7、スタッフ総出で三番瀬の生きものや環境について改めて調査を行ないました。
沖の方まで歩いて行き、さまざまな生きものを観察、採集することができました。ここでその一部をご紹介します。
まずはアカニシ。貝がらや卵塊であるナギナタホウズキは館内にも展示してありますので、ご存知の方も多いはず。ちょうど今が産卵の時期のため、なんとまさに産卵の真っ最中のアカニシを発見しました。このナギナタホウズキは卵の入ったカプセルのようなもので、一度に200~1000ほどのカプセルを産みます。このカプセル一つ一つに100~1000もの卵が入っています。数個体を採集しエントランスや2階の水槽で展示していましたが、翌週にはエントランス水槽のふたの裏と、2階の水槽のガラス壁面に産卵していました。孵化したら水槽の中が凄いことになりそうです・・・・・・。
そしてイソギンチャク。エントランス水槽に開館当初からいる、イシワケイソギンチャクです。イシワケイソギンチャクは個体差が大きく、からだの色や触手のもようなどが多様です。白っぽいものや濃いオレンジのもの、触手に縞があるものないもの、バラエティに富んでいます。このイシワケイソギンチャクは、かつて浦安では食用になっていたそうです。干潟でこれだけの数が見られるとなると、ちょっと食べてみようかと思うのも無理のない話。有明海のほうでは今でも食用としているそうなので、今度食べてみようかと思います。
三番瀬では、素敵な生きものがたくさん見られます。今回はそうした生きものをご紹介させていただきました。ただ、「これカワイイ!」と思っても、それを採集するのはまた別の話です。何を食べるか、どんな環境ならば飼育できるかが分からなければ、飼育してもすぐに死なせてしまいます。そして採集しても個体群や環境に影響がないのか、十分に確かめましょう。ぜひご相談ください!
そして最後はウミウシ。クロシタナシウミウシというウミウシです。「歯舌」というヤスリのような歯をもたない黒いウミウシなので、「黒舌無し海牛」です。とはいえ「舌無し海牛」というウミウシが別にいるわけではないのです。あえて「黒」をつけた理由はなんだったのでしょう。ぱっと見の特徴は「黒!」なので、分かりやすいネーミングなのは確かです。過去にも見たことがあるので、三番瀬にふつうに見られるウミウシといえます。ウミウシのなかまには「これしか食べない!」という偏食家が多く、これが水族館などで飼育しづらい理由の一つです。このクロシタナシウミウシも例外ではなく、カイメンしか食べません。カイメンは英語で「sponge(スポンジ)」と呼ばれ、まさに現在のスポンジの元祖ともいえる生きものです。三番瀬ではナミイソカイメンというカイメンが見られます。エントランスの展示水槽に、このカイメンとクロシタナシウミウシを同時に展示しています。長期飼育をすべく、エントランス水槽担当の佐久間さんとともに頑張っていきます。